モレキュラーシーブは、乾燥用途に乾燥剤として広く使用されていますが、臭いよりも水分を優先的に吸着するために脱臭剤としては一般的に使用されていませんでした。これは、空気中に存在する水分よりも遥かに少ない微量の水分に接しただけでも、モレキュラーシーブ結晶内の空洞は素早く選択的に水で満たされてしまい、臭い分子や他の分子が吸着されなくなるためです。
この化学組成におけるSiO2の比率を高めてハイシリカゼオライトにすると、モレキュラーシーブ結晶格子内に存在する金属カチオンの比率が減少することなどに起因して、ハイシリカゼオライトは水のような極性物質に対する親和性が弱くなり、非極性物質をより強く吸着するようになります。
これらの吸着特性により、ハイシリカゼオライトと言われる疎水性モレキュラーシーブは、雰囲気中の水分よりも揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)や臭いの成分を優先的に吸着しますので、VOC除去や脱臭用途で使用することができます。
脱臭用途では、多様な臭いを知覚域以下の濃度まで吸着除去することができます。
また、極性物質との親和性を弱くすることにより親水性のゼオライトより低温で水分を脱着、つまりより低温で吸着した水分を脱離し再生する事が出来ますので、除湿器や調湿用エアコンにご使用いただける吸着剤としてご利用頂くことも可能です。